(tefu)journey  vol.01:haluta

「haluta hotelli」がオープン、軽井沢 still にお邪魔してきました。

長野県軽井沢を中心に、北欧のビンテージ家具・雑貨の取り扱いや宿泊施設を手がけるなど、食住を通じて暮らしの好循環を提案しているhaluta。(tefu) vintaging-suppliesでご紹介させていただいている北欧家具の多くは、halutaさんにご提供いただいています。

わたしたちは今回、軽井沢駅から車で20分ほどのところに在る、halutaさんの本拠地・軽井沢追分の [still ]にお邪魔してきました。still の建物の様子、その中にオープンしたばかりのホテル [ haluta hotelli still ]の様子をご紹介します。

※(tefu)では以前、徳武さんにデンマークの住宅や生活についてインタビューをさせていただいています。
ぜひこちらの記事も合わせてご覧ください。


建築は、使い継がれていくもの。

使われなくなった建物にもう一度息を吹き込み、まちに還元していく場づくりを得意とするhaluta。浅間山麓の手前に位置する「still」は、元々ドライブインとして使われていた建物が20年ほど眠っていたところを見つけ、数年前から徐々に手を加えながら使い継いでいる複合施設とのこと。ドイツ語で “静寂”の意味を持つ「still」という言葉には、”訪れた人が、自然に近いここで穏やかに過ごして欲しい”という願いを込めているそう。

施設内は、halutaの手がける bageri(ベーカリー)、karuizawa showroom(家具ショールーム)、hotelli(ホテル)の他にも、暮らしを豊かにするグロサリーショップや、地域、インテリアに関係のあるオフィスなども入っており、まちに住む人、訪れる人がゆったりと過ごすことができる空間が広がっています。

*stillに生まれ変わる前のドライブインの様子。2010年に閉業してからのここ10年近くは、建物も傷み、人気もなかったそうです

*共用部に置かれたラウンドテーブルを囲むのは、<ボーエ・モーエンセン> のデザインしたチェアたち

*bageri(ベーカリー)では、国産小麦と軽井沢の水を使用し、石窯で焼き上げたパンやピザを提供。農薬や化学肥料を一切使わない厳選された素材のみを使用。デンマークとの地縁を生かし、彼らの食文化に根付いている栄養価の高い「ルブロ(黒パン)」などを忠実に再現しながら作られたパンが並びます。

*lounge


「haluta hotteli」(ホテル)

2023年8月にオープンしたhaluta hotteli では、“grand room”、“studio”、“terrace” それぞれのテーマからなる3部屋をご用意。 お部屋に置かれている貴重なビンテージ家具、住宅性能、食など、これまでのhalutaの思想を集約したホテルとなっています。壁への塗料や、素材の組み合わせまでも極力環境負荷の少ない天然素材を使用。プラスチックは一切使わず、アメニティルームウェアなどの細部までこだわり、環境にも、からだにも優しい空間となっています。


* grand room


*studio


* terrace


自然の中で過ごすような心地のいい室内

私たちがこの日一番驚いたのは、建物にはクーラーがないのにひんやりとしていて、ものすごく快適なこと。
デンマークの住宅で採用されている「ロックウール」を建物全体に設えているため、高い断熱性能があるという。そこに、空気の対流(換気)を作り、温度と湿度のコントロールを行うことで、エネルギーに依存しない “心地よい環境”が作られているそう。

*ロックウールで囲んだ外壁。窓のフレームは、熱を通しにくい木製のフレームを使っている。

「いい住環境で寝ると、毎朝の目覚めが本当に違う。ここは断熱をしっかりして、湿度をちょうどよくしているだけ。この快適さをここで体験してもらいたくて。」

徳武さんはこれから、デンマークの暮らしの中で知った住環境のよさや、エネルギーに依存しない北欧由来の建物の性能を日本に拡げていきたいとのこと。普段どうしても人口的に作られた環境の下に居続けてしまうわたしたちのからだの「芯」からを休めてくれる優しい環境。

皆さんも、ぜひhaluta hotelli での滞在を通して、心地よさを体験してみてください。 ご予約はこちらから。



じっくりと時間をかけて、生まれ変わっていくstill。これからはカフェや、住宅、サウナもできるとか。
じんわりとまちに溶け込みながら、本来の森の姿へも還していく。

(tefu)では、家具や建物、時間と共にそこに込められた想いを、受け継ぎ、また次の使い手へと繋いでいく「いい循環」を、伝えていきたいと考えています。

これから stillが、長い時間を経てどんな人に愛され、どんな場所に育っていくのか、とても楽しみです。



text:natsumi yoda
photo:kosuke hasegawa